里海:人と海が調和して共存する世界

木曜日, 4月 2, 2026 | 1分で読めます | 更新日時 木曜日, 4月 2, 2026

Lucie
里海:人と海が調和して共存する世界

里海とは、世界でも独自の概念であり、沿岸の自然環境を持続可能に管理する考え方である…

はじめに

世界中の沿岸地域では、産業漁業、都市化、汚染といった人間活動が、地球上でも特に豊かで脆弱な生態系に深刻な影響を与えています。海や沿岸は、経済発展と自然保護の対立の場となることが少なくありません。このような緊張関係の中で、根本的な問いが生まれます。「海を破壊せずに共に生きることは可能なのか?」。歴史・文化・経済の面で海と深く結びついてきた日本は、その問いに対し、伝統に根ざした概念である里海によって独自の答えを提示しています。

里海は単なる言葉ではなく、人間社会と沿岸の海洋環境との共存の哲学を体現しています。それは、人間の関与が生物多様性を損なうのではなく、むしろ高める沿岸域を指します。ただし、そのためには、長期的な視点と共同的な管理が不可欠です。

里海は、日本の漁村において世代を超えて受け継がれてきた経験的な知識と実践に基づいています。そして20世紀末には科学的研究によって再定義・評価されました。現在では、研究者や海洋保護区の管理者、沿岸地域のコミュニティから注目される持続可能な管理モデルとなっています。

このモデルは、「自然を守るためには人間が距離を置くべきだ」という一般的な考え方に疑問を投げかけます。それとは逆に、里海は地域に根ざした生産システムの中での積極的な関与を提案し、人間の撤退ではなく参加によって保全を実現します。

本記事では、里海とは何か、その仕組みや歴史的・文化的背景、そしてなぜ現代において海や沿岸との関係を再考するヒントとなるのかを探ります。

里海とは何か

「里海(さとうみ)」という言葉は、「里(人の暮らす場所)」と「海」から成り立っています。直訳すると、人間の関わりによって形づくられた沿岸の海を意味しますが、それは肯定的な意味を持ちます。一般的に人間活動は環境を悪化させると考えられがちですが、里海では、適切で配慮された人間の関与が、生物多様性や生態系の機能をむしろ向上させるとされています。

概念の成立

「里海」という言葉は1998年に柳哲雄教授によって提唱されましたが、その実践ははるか以前から存在していました。何世紀にもわたり、日本の沿岸地域では次のような活動が行われてきました。

  • 海藻や貝類の養殖
  • 漁業資源の共同管理
  • 上流の森林(里山)の管理(沿岸水質に影響)

したがって、里海は文化的遺産であると同時に、現代的な環境管理の再発明でもあります。

構造と機能

里海は「手つかずの自然」ではなく、人間活動の影響を受けた生態系です。主な特徴は以下の通りです。

  • 海と陸の密接なつながり(森林、河川、湿地、湾が一体となる)
  • 地域共同体による資源管理(漁業者、農業者、住民、研究者、行政の協働)
  • 高い生物多様性(生息地の維持や外来種の管理により向上)

里海の模式図

里海の構造と機能(日本環境省による)

代表的な里海の例

福井県小浜湾は、その代表例として知られています。上流の森林再生によって海水の質が改善され、かつて姿を消した海洋生物が戻ってきました。また、漁業協同組合が伝統的な資源管理ルールを実践しています。

発展と国際的評価

2000年代以降、里海は国際的にも注目を集めています。2006年の「ジャパン里海ポリシー」や、生物多様性条約(CBD)による認知がその一例です。

また、国連が支援する里山イニシアティブにも組み込まれ、世界各地で持続可能な景観のモデルとして活用されています。東南アジアや西アフリカなどでも応用が進んでいます。

かつては単なる農漁村の遺産と見なされていた里海は、現在では生きた文化的・生態学的資産として再評価されています。

現代の課題と未来

里海は過去のものではなく、現在も進化しています。主な課題は以下の通りです。

  • 農漁村の高齢化と伝統知識の継承不足
  • プラスチックや化学物質による海洋汚染
  • 気候変動による生態系の変化

これらに対応するため、デジタル技術による環境モニタリングや教育プログラム、再生プロジェクトなどが進められています。

おわりに

環境危機が深刻化する現代において、里海は人と自然のバランスに関する貴重な教訓を与えてくれます。それは、人間と自然を切り離すのではなく、共に生きる在り方を再考するための視点です。

里海は単なる沿岸管理の手法ではなく、つながりの哲学です。そこには、地域の知識の継承や多様な主体の協働、そして「海の健康は陸から始まる」という認識があります。

また、里海は、生物多様性が自然だけでなく、人間との持続的な関係の中で育まれることを示しています。この考え方は日本にとどまらず、世界各地の伝統的な資源管理とも共鳴します。

里海に学ぶことで、私たちは新たな沿岸の未来を描くことができるでしょう。それは、生命が息づき、共有され、回復力を持つ空間です。

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こちらが2026年ミッションのメンバーです。

こちらは、BiOdysséeの創設メンバーであり、2026年の日本遠征に参加するメンバーの簡単な紹介です。

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Hugo

AgroParisTechで環境マネジメントと工学を学んでいる学生で、古生物学と進化に情熱を持っています🦖🦴🧬。 将来は自然環境の管理、特にフランスにおける湿地の保全や再生に関わる仕事を目指しています🐸🐟🌿。 これらの湿地は過去数世紀の間に大きく減少してしまいました。 昔から種や生態系の進化と変遷に興味があり、それがこのギャップイヤー・プロジェクトに強く惹かれる理由でもあります!

Contact : hugo.roger@agroparistech.fr

photo rando

Lucie

環境マネジメントと工学を学ぶ学生であり、海に関するあらゆることに魅了されています🌊。 仕事と情熱を結びつけたいという思いから、海洋生物学の道を目指しています。 特に、海洋生態系の保全や管理に関わる仕事をしたいと考えています。 海の動物たち🐠🐋🐙はもちろん、水中の植物にも強く惹かれており、それらをもっと間近で観察したくてスキューバダイビング🤿をしています。 このプロジェクトは、私にとって新たな水中環境を発見し🌊🪸🌿、それらに関わる課題を深く理解する絶好のチャンスです。

Contact : lucie.lowagie@agroparistech.fr

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Solal

農学を学んでおり、歴史🧭⌛🏹と動物行動学(エトロジー)🐁🧠🧪に情熱を持っています。 この機会を活かして、動物たちが自然な環境でどのように振る舞うかを観察したいと考えています。 将来的には研究👨‍🔬や高等教育機関での教育🧑‍🏫に携わることを目指しており、このギャップイヤーは、観察力や情報整理・分析の力を高める絶好のチャンスです。 歴史的な視点と動物の観察を結びつけ、「過去の過ちを繰り返さない」という目的のもとに活動できることこそが、このプロジェクトに惹かれる理由です。

Contact : solal.free@agroparistech.fr

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Théophile

環境工学を学ぶ学生で、昆虫学、特にアリの研究(ミルメコロジー)🐜に強い関心があります。 私の目標は、環境分野、特にアリの集団遺伝学的ダイナミクス🧬🐜に関する研究に携わることです。 私は自然観察を行う団体「Blairoudeurs 🦡」のメンバーでもあり、コルシカ島で行われた「Mission Isula」にて、調査や環境教育活動に参加しました。 このギャップイヤー・プロジェクトは、そうした経験をさらに広く、よりエキゾチックなスケールで継続できる素晴らしい機会であり、他国の生態系やその管理方法について学び続けるチャンスでもあります。

Contact : theophie.thomas@agroparistech.fr

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